第1章 私は貴方に恋をした
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現代、細川の屋敷にて数珠丸と膝丸を連れた朱里は当主に挨拶に来ていた
当主の姿は今まで見ていた好青年、あの時見た紺色の衣装ではない。
「こちらの屋敷の方で、朱里は生きているという事になっている、もうこれで手続きは終わりです」
「当主さん色々ありがとうございました」
ヒトの姿でふんわり笑う当主に、少し寂しさを感じて。
「あの、蛟さんとももうお別れなんですか?」
「「朱里?」」
蛟とは?当主はそんな名前では無いと2人の刀剣が言葉を紡ごうとしたときに
目の前の当主は仕方ないと言う顔のまま姿がブレ
紺色の衣装の姿になり数珠丸と膝丸は刀に手を置いた。
「2人とも待って!」
「よい、同じ神であっても格が違うと言う事を知らしめても良い」
ぴっと庭の方に指を払うと、数珠丸、膝丸は何かの力に依って庭に放り出され
半ば混乱していた。今まで見ていたこの男の正体に気付けなかった?
「朱里」
「は、はい!」
「我も、朱里の本丸に行っても良いか?池があったろう。我は水神。邪魔はせぬよ」
「ご当主は蛟さんじゃ?」
「なに、適当な者に押し付けておく、ヒトとは欲深き者、当主の座を狙っている阿呆は山ほど居る」
「そんな…」
「悲しい顔をするでない朱里。ヌシの兄として付いて行きたいだけだ」
優しく、朱里の頭を撫でる覆面の男の言葉に、数珠丸と膝丸は本気で着いてくる気だと
思い切り冷や汗を流した。
「と、言う訳だ小僧。"きちゃったv"と言うべきか?」
「現世捨てて来やがったこいつほんとに神か!?」
「失礼な小僧だな」
「いでででで!アイアンクローギブギブギブ!!」
「蛟さん、池に住むって、どうするの?」
蛟に絞められてる最中に朱里が助け船出してくれ
朱里に全力で感謝して抱き締めた
流石俺の朱里愛してる。
蛟は朱里の本丸前の池に向かって歩き、池の上に立つ。
池の中を見てた蛟はとぷんと吸い込まれる様に
水のなかに消えて、全員で池の中を覗くと…
「凄い、お屋敷が沈んでる」
「蛟の棲家か」
朱里と感心して池の中を覗いて
あれ?一番煩そうな数珠丸と膝丸は?と見渡すと
…半ば諦めた目してるから何かされたんだろうと察した。