第1章 私は貴方に恋をした
「二日で終わって良かったけどな、うん、今後は普通の時に強制的に修行させられそうで……」
「楓さん、頑張って?」
「……朱里、ご褒美くれる?」
「え? えぇっと、私があげられるものな、ら?」
「ふふっ、約束、な?」
「ひゃっ?! ちょ、楓さんっ! 降ろしてっ!」
「ダメ。とりあえず今日のご褒美は朱里と一日中引っ付いてること。あと半日は離してやらんから当然あるくのも俺が抱っこする」
「なっ、なにそれっ! もうっ、ちょっとっ!」
ふふふと笑う楓の予想通り、その内朱里の本丸に移住してきた蛟に散々修行させられることになるのだが、それはまた先の話。
朱里を抱き上げた楓はひとまず腹ごしらえに行こうと自分の本丸の厨に向かいながら、後でもう一度庭に戻ってきちんと見せようと足を速めた。