第8章 〇【ベルトルト】僕だって
温かい湯の中に2人で浸かる。
狭い湯船はぎゅうぎゅうになり、ベルトルトの足の上にサラが座っている状態だ。
「ごめんね、僕のせいで寛げないよね・・・」
「お互い様だよ。ごめんね、足の上に・・・」
話しながらも、ベルトルトはサラを抱きしめて、その頭に軽く顎を乗せる。
「ベルトルト、2人でお風呂入るの初めてだね」
「うん、嬉しいよ」
ベルトルトはまた抱き締める腕に力を入れ、
「・・・この時がずっと続けばいいのに」
と呟き、ベルトルトはまた続ける。
「もし、」
「ん?」
「もし、僕の“故郷”に一緒に来てって言ったら、来てくれるかい?」
ベルトルトが問う。
彼は“戦士”として、今ここにいる。
こんなことは本来許されない。
決して、許されはしない。