第8章 〇【ベルトルト】僕だって
ベルトルトが風呂から出ると、ベッドのシーツを纏ったサラが背を向けて椅子に座っていた。
ベルトルトも、先程の服が濡れていたので着られず、バスタオルを腰に巻いているが、なんだか落ち着かずに同じくシーツを探す。
クローゼットに替えのシーツがあり、それを申し訳なく思いながら出して羽織った。
「バスローブがあれば良かったけど、無いね」
「仕方ないよ、安い素泊まり宿だし」
ベルトルトはベッドに座ると、サラをこっそり見る。
「髪、まだ少し濡れたままじゃないか」
ベルトルトはベッドから離れ、フェイスタオルを取ってきて、それでサラの髪を拭く。
「ふふ、ベルトルさん、やっさしー」
「こんなこと、君にだけだよ」
ベルトルトはサラの髪を大切に大切に拭きあげる。