第8章 〇【ベルトルト】僕だって
「な・・・!!」
サラが項を押さえていた理由が分かった。
サラの着るワンピースは、背中がファスナーでなくボタンになっていて、ワンピースの下に見えるブラウスもワンピースと一体型になっている物だった。
なので、ボタンをとめなければ下着が丸見えなのだ。
「サラ!これは・・・ちょっと無防備過ぎるよ」
「だって・・・同室の子、昨日夜から実家に帰ってて・・・背中のボタンは自分で止められないから・・・だから、止めて?」
体温が上がるのを感じながら、ボタンをとめていく。
「気を付けないと・・・何かあったらどうするんだい?危ないよ、本当に・・・」
「ベルトルトは心配性だね。大丈夫だよ」
違うんだ、とベルトルトは思う。
今部屋からここに来るまでの間に、兵舎内の何人とすれ違ったのかは知らないが、振り返った人がサラの背中を見ていたら?
「・・・そうだね、でも用心しなきゃいけないよ」
ベルトルトの心配を他所に、サラは「はいはい」と流していた。