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進撃の巨人ー短編集ー

第23章 〇【ナイル】Family complex



「師団長、ありがとうございます」
「部下が同じ目に遭ったら使え。執拗い相手でない限り多少は気を逸らせる」
「はい、覚えておきます」

薄暗い通路の先、もう一枚ある扉。
公爵が扉を開くと広い場所に出る……が、目の前に見えたものにナイルは一瞬思考が停止する。

「……公爵、あれは?」
「鑑賞ベッドだ、分からんか?まさかワシらのような金持ち以外は床で寝ているとでもいうのか」
「いえ、まさか……」

こんなだだっ広いダンスホールのような会場、その中心にはヘッドボードが無い広いベッドと、全面ガラスで三メートル程の天井が無いバリケード。かなりの違和感だ。

「これは今夜のお前達二人のステージだよ。ショーの仕様で、ベッドボードは取り払い、周りはガラスで囲ってある」

公爵はガラスを撫でる。

「今夜ここでお前達がセックスすれば兵団運用資金の額を上げてやる。良い話であろう?何より、兵団仲間の調査兵団は壁外調査資金の為に自らを捧げているそうじゃないか。なんと人類に献身的なことか……涙が出るよ」

公爵の言葉に貴族達からは笑いが起きる。ナイルは額に汗を滲ませながら口を開いた。

「……資金の為に、大切な部下と性行為をする訳には参りません。私達が部下達を放っておいたまま遊戯を興ずるのも……」
「ナイルよ、お前ならそう言うと思っとった。オイ」

公爵が呼ぶと、縛られた男が数人が唾液を垂らししながら前に連れてこられた。

「では、ナイルはもう下がって良い。最高責任者が一人いれば良いだろう。今夜のショーには彼女に出てもらうことにしよう。……コイツらは精力剤漬けにして早くセックスしたくて堪らない奴らだ。そんな奴らに大切な部下とやらの相手をさせれば……まあ最悪裂けたりするだろうな、何処が……とまでは言わんが」
「ぐ……」

ナイルの頭には妻と子供達の顔が浮かぶ。
そして横を見れば、真っ直ぐ公爵を見るサラ。サラを傷つけるわけにはいかない。

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