第21章 〇【ジーク】ソラ様合同夢♡
肝心の施術をしてくれる整体師さんは丸いフレームのちょっと変わったデザインの眼鏡を掛けていて、髭で表情が分かりづらいけど声の感じがとてもいい。長い髭もちゃんと整えられているから気にならなかった。
「院長のジークです。ま、院長って言っても俺しか居ないんだけどね」
「ふふ、ジーク先生ですね。よろしくお願いします」
親近感の湧く話し方に自然と笑顔が零れた。ジーク先生は私の足元から頭のてっぺんを目でなぞる様に観察する。
「肩こりで受診だよね?んー、君の場合、骨盤の歪みからきているみたいだよ」
「えっ骨盤?肩凝りがですか?」
「そう。ほらここ、右が歪んでる」
「あ、ひゃっ…!!」
「急にごめんよ」
「い、いえ…」
予告もなくジーク先生の大きな手が私の腰を掴んできたものだからびっくりして変な声が出てしまった。一瞬ジーク先生の手が止まったけど、何事もなくまた触診が再開される。
「右側の骨盤が特にズレてるね。仕事はデスクワーク?」
「そう、です…っ」
「座りっぱなしも姿勢悪くなるからさ。この歪みが背中から肩にまで影響してるんだよ」
「…んっ」
「…周りの筋肉を解して整えようか」
こんな短時間で悩みの原因を見つけてくれるなんて、きっと腕が良いんだろう。
けれど骨の位置を確かめるようにグリグリと触られて背筋がゾワゾワしてしまう。これは治療で、ジーク先生は決していやらしい触り方をしているわけじゃないのに変な気分。
「奥のベッドに行こう」
「奥?ここじゃないんですか?」
「ここはちょっとね、」
てっきり目の前にある真っ白なシーツのベッドで施術を受けると思っていたから部屋を移動すること少し驚いたけど、人当たりの良いジーク先生のことをすっかり受け入れた私は言われるままに開けられた扉から奥の部屋へと足を踏み入れた。
スリッパを履く足音はパタパタといって、少し気だるげだ。