第18章 【リヴァイ】残り香とあなた
そんな2人の奇妙な時間は日々続いたある日。
「サラ、もう香水が無くなる」
多分、今日で終わり。
サラの腕は、当然、幻肢痛は起こるが傷口は良くなってきたようだ。
「・・・お願いします」
残り少ない香水は、項、胸元、ウエストに付けた。量も少ない為、体温が高い場所に付けても匂いが強過ぎない。
ベッドに上がると、サラが細い布を手渡してきた。
「最後だけ・・・最後だけ私に・・・」
すぐに意図を察したリヴァイは、布をサラの目元に当て、目を隠した。
「痛くないか」
「はい。・・・あと・・・今日は兵長が横になってください」
リヴァイは言われるまま横になる。
「嫌だったら・・・仰って下さい」
サラは体を左手で頼りなく支えながら、リヴァイの首元に顔を埋めた。耳にサラが一生懸命に香りを吸い込む音が聞こえる。
時たま鼻をすするので、匂いで鼻がやられたかと見てみれば、どうやら泣いているようだ。
「エルヴィン・・・団長・・・」
そう呟いてリヴァイの胸に頭を置くサラ。
その頭に手を置いて抱き締める。
「・・・さい・・・私も・・・連れて行って・・・下さ・・・」
リヴァイの胸が苦しくなる。何をしてやるでもなく、ただ黙って撫でていたが、サラが頭を上げて、リヴァイの胸元に鼻を近づけた。
涙で顔も、そしてリヴァイの服も濡れている。
「団長・・・抱いてください・・・、最後に・・・今日で終わりにしますから・・・」
リヴァイは言葉を聞いて、言葉を発さぬままにサラと体勢を代わった。
大人しく泣いたまま、サラは横を向いている。
その頬を撫で、顔を自分に向かせキスをすると、左手がグッと服の胸元を掴んできて、もっと深く、と求めてきた。