第18章 【リヴァイ】残り香とあなた
「気持ちが悪いですよね・・・私」
「何故そう思う」
サラはゆっくりと左手を右腕に添えた。
「私は・・・この匂いがすることで、団長が・・・亡くなったことを否定したかった。まだあの方が生きていると・・・。私は・・・目の前で・・・見たのに・・・」
左手に力が入っている。止まりかけた涙がまた溢れ出して、サラが嗚咽を上げた。
「無理に話すな。他に俺ができることがあるならやる」
「・・・では・・・コレを付けて・・・一緒に寝て下さい。傍に居てください・・・」
今にも死んでしまうかもしれない、この瞳を知っている。リヴァイは断る意味は無いと判断し、香水を付けた。
最近まで生きていた男の匂いがする。まるで今横にいて、今にも声が聞こえてきそうだ。懐かしいような、そして異様な感覚に不気味さまで覚える。
「なかなかいい趣味をしてるな」
感情を悟られぬようにと言葉が口から滑った。靴を脱いでサラの横に腰掛けると、急いで避ける。そのスペースに寝転がって、サラを見た。
「ほら、来い」
リヴァイの言葉に、サラは申し訳ないような、悲しみを含んだような表情で横になった。