第17章 【ゲルガー】お前の為なら
夜。
サラが支度を終えた辺りで、部屋のドアがノックされ、開けると後輩の女の兵士が立っていた。
どうやらゲルガーに頼まれて呼びに来たようだ。
宿舎の入口に行けば、壁に背を預けているゲルガーが居た。
「よお」
「わざわざ後輩ちゃん使って・・・だから待ち合わせ場所聞きたかったのに」
「・・・兵士っつってもお前は女だし危ねえだろうが。男が迎えに行くのは当然だ・・・ほら、行くぞ」
「ん・・・まあ・・・ありがと・・・」
待ち合わせ時間合わせれば、とか、誰も通らなかったらどうするつもりだったのか、とは思ったが、ゲルガーの気持ちが素直に嬉しくなりサラは口を噤んで、ゲルガーと並んで歩き始めた。
サラは歩きながら話をする中で、訓練兵時代を思い出した。
数年前からゲルガーとサラは割と仲が良く、一時期は交際の噂がたったのだ。そのせいでサラは若干ゲルガーから距離を置こうとしていたが、ゲルガーがそれを拒否する様に変わらず遊びに誘ってきて、今もお陰で仲良しのままだ。
ゲルガーは精鋭のミケ分隊長の下に配属され、自分とかけ離れた所属になろうとも、変わらず・・・いや、もしかしたら昔よりも距離は縮まったかもしれない。
サラの頭に浮かんだのは、笑顔のゲルガーと自分が手を繋いで歩く姿だった。
何を考えてるんだと考えを振り払った頃、目的地に到着した。