第17章 【ゲルガー】お前の為なら
廊下の曲がり角に身を潜めるのは、ミケ班に所属しているゲルガー。
「(よし・・・今だ!!)」
ソワソワとしながらタイミングを伺い、歩き出した。
「わ!?」
「うお!!何だサラか・・・驚かすなよ・・・」
「そっちが勢い良く出てきたんでしょ!?最近よく出くわすけど何の呪い!?」
「は!?ひでえ言い草だなオイ」
呆れて見せるが、ゲルガーの心中は穏やかではなかった。
「(今日こそ・・・今日こそ誘う!!!酒の力を借りるのはどうかと思うが、酒を飲んでそんで・・・告る!!!!)」
自称サラ大好き人間のゲルガー。ここ最近、サラと廊下の曲がり角衝突ハプニング作戦を連続して行っては、呆気なくデートに誘えず・・・。
「大体なんでここに・・・」
「・・・サラ!!」
「は、はい・・・何・・・」
「俺と・・・俺と今日飲みに行かねえか!!!!」
ゲルガーの勢いに押されて、サラは少しのけ反った。
時が止まったように静かだ。ゲルガーはサラの顔を見る。
「・・・ごめん、私お酒飲めないんだ・・・弱くて・・・」
「じ、じゃあ酒は無しだ!俺も飲まねえから飯に行こう!な!よし決まりだ!夜空けとけよ!」
「え!ちょっと!?ゲルガー!!」
サラの声を背に走り去るゲルガー。
「待ち合わせどこか聞いてない・・・」
呟くサラの声は誰もいない廊下に溶けていった。