第13章 〇【エルヴィン】ご褒美に
それからはまず女性らしい丸みのある体と、落ちた体力を戻す為に、栄養を摂り、睡眠を取って、清潔にした。
数ヶ月でやっと見ていられる程に回復した。
「サラ、君には諜報員になってもらう」
真夜中、調査兵団の団長室で、サラはエルヴィンの話を聞いていた。
「ウォール教に入教し、内部を探れ。壁に関する情報を信者から聞き出すんだ。ただし、ニック司祭には気を付けろ。彼は少し気難しい」
「分かりました」
「やり方は問わない。君のその身体を使うも良し、武器になるものは全て君自身が持っている」
エルヴィンは立ち上がり、サラの横を通り過ぎたと思えば、サラの後ろで鍵が閉まる音がした。
「・・・エルヴィン様・・・?」
再びエルヴィンが自分の席に着いた所で、エルヴィンがサラを見る。
「・・・君には不思議な魅力がある」
エルヴィンが手招きをするので近付けば、ゆっくりと手が取られた。
「私は、君のその魅力は必ず武器になると考えている。君の働きを期待しているよ」
揺れる炎の光の中、エルヴィンの色気のある瞳に捕まり、思わず息を呑むと、エルヴィンがそっと笑い、サラの顔の輪郭を指で撫でた。