第12章 〇 「○○しないと出られない部屋」
【サラ×ミケ】
⚫『どちらかが愛を叫ばないと出られない部屋』に入ってしまいました。10分以内に実行してください⚫
「サラさん、時間が無い」
「・・・」
「どちらかが愛を叫ばなければいけない、あなたならエルヴィンに対しての愛を叫べばいい。そうすればきっとすぐに出られる」
「そ、そうだな。じゃあ・・・エ、エルヴィンが・・・好きだー・・・」
・・・・・・・・・。
「えっ、違うの?私エルヴィンが好・・・愛してる!!」
・・・・・・・・・。
「ミケ」
「・・・」
「ミケ、ほら。私じゃダメだそうだ」
次はミケだぞ、と、サラがミケを肘で小突くと、ミケは前髪を少し触って、扉を向いたまま、サラの方をチラリと見た。
「・・・ずっと好きだ、今も、昔も」
ミケが言うと、勢いよく扉が開いた。
「おお!よくやった、ミケ!よし、皆と合流するぞ!!」
「・・・ああ」
「(・・・ミケは誰を思ったのかな。聞きたいが“今も昔も”って事は長い間片思い・・・だから浮ついた噂も何も聞かないのか・・・今度飲みながら話を聞いてやろう・・・)」
ミケは自分自身を少し不憫に思いながら、先を進むサラの後ろ姿を見下ろしていた。