第10章 【オルオ】恋の始まり
怪我から1週間。
兵団の休日の昼前。
一応、傷がほぼ治ってきた事を伝えにオルオの元へ向かった。
この1週間は本当にヤキモキして、オルオの事ばかり考えて、沢山行き交う兵士の中にオルオを探してはなかなか居らず、ガッカリする日々だった。
そして着いた場所は訓練場の、筋トレ器具がある部屋。
扉を開ければ、丁度筋トレをするオルオが目に入った。
「あのっ・・・オ・・・オルオさん!」
名前を本人に直接聞いていないのに呼ぶのは気が引けたが、名前を呼ぶと、こちらに気付いたオルオがトレーニングを止めて近付いてきた。
「お前・・・怪我は?どうだ?」
「はい、もうだいぶ」
ほら、と手のひらを見せると、指先を摘まれてよく見られる。
「良かった、傷痕にはならなそうだな」
微笑む彼にやはりドキドキする。
「そういえば、よく俺の名を知ってたな」
「有名な方ですからね。精鋭部隊の優秀な兵士の1人ですし」
まあ名前は最近まで知らなかったが、と心で思いながらそう言ってみせると嬉しそうな表情をして頭をかいた。