第10章 【オルオ】恋の始まり
医務室に着き、肩を押さえられて乱暴に椅子に座らせられる。
「あ、あの・・・処置、自分で出来ます!」
「いいから俺に任せておけ」
そう言って手際よく準備し、手を洗ってからサラの手に刺さっているトゲを抜き、消毒をした。
無言で見守るが、何故かドキドキする。
意外に石鹸のいい香りがするし、全体的に清潔感がある。
「・・・・・・よし、とりあえず見える限りのトゲは抜いた。すまねぇな。また経過を聞かせて欲しい。俺のせいで負った怪我だ。治るまで責任を取らせてくれ」
「え・・・あ、分かりました」
オルオは日頃、自分が大体いる場所をメモ用紙に何ヶ所か書いて渡してきて、それからサラはオルオと医務室を共に出て、別れた。