• テキストサイズ

【刀剣乱舞】不死身審神者が死ぬまでの話【最強男主】

第3章 審神者になった白い鬼



 間髪入れず返された答え。その中に混じる「歴史修正」という聞き慣れない言葉に、鬼神はゆっくりとまばたきをした。「国の防衛」だの「犯罪を是正」だのそれらしい大義を掲げては彼を争いの場へ引きずり出そうとする輩はいくらでもいたが、「歴史修正」という言葉を耳にしたのは初めてで少し興味を引かれたのだ。


 それから人間達は(実際に会話したのは真ん中の一人だけで、両端の二人は終始一切口を開かなかったのだが)、歴史改変という不可思議な現象について彼に説明を施した。


 時を遡り世をかき乱すことによる史実の歪曲、犯罪者本位に過去が書き換えられ、存在するはずの人間が消えたり、存在しないはずの人間が現れることによる混乱、総督府の介入に備え編成され始めた異形の軍団、急激な時空犯罪の蔓延、そしてそれらへの総督府の対抗策――審神者という、神事に通じた人間を軸とした戦陣の形成。


 どの事実も耳に新しく、特に歴史修正主義者を迎え撃つために用意されるという軍の主戦力として刀の付喪神を登用するという話は、生まれてこの方刀という武器に深く関わってきた彼にはとても他人事とは思えないものだった。


「……なるほど。事情は分かった」


 人間達の説明に一区切りつき、彼は深く息をついた。しかし対峙している人間達の方は正座のまま身じろぎ一つしない。人である彼らより、神である自分の方が生き物くさい動きをしているというのは何とも可笑しな光景だった。


「しかし、過去の刀の付喪神を呼び出し使役するというのはまた奇怪なことだな。人間では駄目なのか?」


 鬼神の問いに、人間は間隙もなく「勿論でございます」と答えた。


「理由は二つあります。一つは、貴方様も重々承知のことだとは思いますが、我々人間は生物兵器としての性能が著しく低い。戦に出せば高確率で負傷し死に至ります。使っている間に精神が磨耗し使役不能になる可能性も高い。勝手の分からない過去の世界に送られれば尚更でしょう。単純な兵器としての殺傷能力も低く、数に限りがある。人間を戦闘に使うのは合理性に欠けます」


「……」

/ 40ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp