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その花の名は、

第2章 就任初日



それから、お米を買って、お肉やお魚、野菜をカゴの中に入れていく。

『あっ!』

と、私があげた声でまんばちゃんがビクッと体を跳ねさせた。

『私、料理出来るのかな?』

カゴいっぱいに食べ物詰め込んで置いて今更ながら不安になってきた。

「え?」

助けを求めるように、ちらっと彼の方を見る。
知らんがなって感じだよね。
いや、なんとなく出来そうな感じはするんだけどなぁ。これ、気持ちの問題かな。

『不味いの食べるの嫌だし、一応料理本買っていこ』

店の一角の雑誌コーナーにあった、料理の本をカゴに入れ会計を済ます。

『割といっぱい買っちゃったね〜』

「こんなに買ってどうするんだ」

『多分、これからどんどん人が増えていくと思うし、すぐなくなっちゃうよ』

重いお米と食材をを片手で持ててしまう辺り、男の人だなぁと改めて思う。
私の片手にあるのは、少量の食材と料理本。

片方の空いた手で、彼の手を握る。
商店街を抜けた後、屋敷に帰るまでずっと手を繋いでいた。

「もう逸れたりしないと思うんだが」

と玄関先を前に言われ、はっとなって手を離した。

『ごめんね。手繋いでたら、気持ちが落ち着いちゃって』

なんだか、恥ずかしくなって、夕ご飯作んないと、と本丸内の地図を取り出す。
右の廊下先が厨房で、左の廊下先がお風呂か。
荷物置いたら、お風呂も見に行かないと。

まんばちゃんと厨房に食材を置きに行き、冷蔵庫に食材を入れるように頼んで、お風呂場に向かう。

炊飯器もあったし、オーブンやレンジはなかったけど、何とか気を揉まなくて良さそうだ。

お風呂場は、大浴場のようだった。
銭湯というよりかは、温泉に近い雰囲気だ。どうやってお湯を張るのか分からなかったが、隅にある蛇口をひねるとお湯が出てきた。
特に滑りとかないみたいだし、鏡も綺麗だし、新品みたいだな。

厨房に戻ってくると、まんばちゃんが入りそうもないお米をそのまま冷蔵庫に無理矢理押し込んでいたので慌てて止めた。

『ありがとう。あとは、私に任せて。出かける前に渡した服に着替えてくるといいよ』

「わかった」

ちょっと一息ついて、お米を洗い炊飯器にセットする。

「これ、どうやって脱げばいいんだ」

後ろから声を掛けられ振り向いて、ぎょっとした。



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