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その花の名は、

第2章 就任初日




「山姥切国広だ。………なんだその目は。写しだというのが気になると?」

『いや、随分綺麗な人が出てきたなと思って』

「なっ、綺麗とか、言うな」

頬を赤く染める山姥切くんをよそに、こんのすけに話しかける。

『刀剣男士ってみんなこんなに美人なの?』

「美人とか言うな!」

「皆さま、それぞれ個体差ありますので、それはよく分かりませんね。じゃあ、刀剣男士もいますし、とりあえず出陣しますか!」

じゃあ、類稀なる美人が出てきたのかなぁ。
物は試しだしなぁと、こんのすけに続いて庭へと出る。

「これが時空間を移動する為に使う装置です。今回は、演習ですからあまり気を張らずに」

『これって私ついて行っても良いの?』

「いえ、お留守番ですね。まぁ、今回は初めですし、一緒に行きましょうか」

記憶のない私にとっては、一人にされるのは辛いものがある。さっき知り合ったばかりでも、いるのといないのでは全く違う。

こんのすけの指示に従い、山姥切くんが装置の日付設定をセットする。スタートボタンを押した途端に、光に包まれ眩し沙に目を閉じた。

数秒して、目を開けると森の中のようだった。
そしてその奥の暗闇にギラリと目を光らせているものがいる。

「あ、山姥切国広さん!あれです!時間遡行軍!」

まずは索敵を!と言われたもののよく分からず、てか一人だと索敵とか関係ないじゃんと思いつつ、方陣でと言っておく。

目の前に現れた時間遡行軍は人の形をしていなかった。
怨霊の類なのか、良いものを持ってないと言うのは私でも分かる。

「斬る」

山姥切は刀を抜き、彼らに向かって走り出す。
人の身を得て間もない彼に、時間遡行軍は容赦なく斬りかかる。傷口から吹き出す血を見て、やばいと思った。戦うって、こう言うことなんだ。

『ちょっと、ねぇ!こんのすけ!演習にしては相手強くない!?中断して帰れない!?見てられないんだけど!』

「途中で帰るのは無理ですよ」

「俺を写しと侮ったことを、後悔させてやる。死をもってな!」

「あ!真剣必殺が出るとは流石ですね〜!」

他人事だと思って、この野郎。
なんとか、敵を倒した山姥切はその場に座り込んでしまった。慌てて駆け寄ると服はボロボロになり、傷もひどかった。

『早急に帰るよ。手当てしないと』

「そうですね!手入れ部屋の案内もありますし!」

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