第1章 序章
四ノ宮神社は、四ノ宮家の本家で代々受け継いで来た。
幼い時から、高校卒業後はこの神社の手伝いをするようにと言われていた。先日20歳を迎えた私は、仕事にもだいぶ慣れて新しい仕事任されないかな、なんてぼんやり考えていた。
「椿、話がある」
社務所でお守りの整理をしていると、父が神妙な面持ちで話しかけて来た。隣には、スーツ姿の見慣れない男が立っている。
『…面談室行きますか?』
なんとなく、大事な話なんだろうなという事は察した。
父達に先に面談室へ行ってもらい、お茶を淹れた。
「お茶、ありがとうございます」
『いえ、それで、話とは何でしょう』
「椿に、やって貰いたい仕事がある」
と、聞いて、新しい仕事を任されるのかと内心ワクワクした。
「つきましては、その資料を見ていただいて」
と、スーツ姿の彼が差し出した資料を受け取る。
『歴史修正主義者排除に関する規定…?』
「歴史修正主義者というのは、簡単に言えば歴史を変えてしまう者たちのことです。例えば、本能寺で亡くなった織田信長を生かそうとしたり、新撰組を存続させてみようだとか。そういう、変化をもたらされると現代に影響が起きてしまう。今存在する人達が存在しない事になってしまったり、政府の存続も危うい。日本史の文面だけでない問題が生じるのです」
『それを、倒すって事ですか?』
「そうですね。正確には、貴方にはそれを倒す者たちを生み出し纏めて欲しいのです」
ん?生み出す?どうやって?
茶を啜っている父に目を向ける。
「あぁ、我が一族はな、家を継がない女を代々審神者として政府に引き渡して来た」
「四ノ宮家の方々は、先代が陰陽師では無いのかと言われるほど霊力が強いですからね。我々もそれを見込んでのこと」
『審神者って何するんです?』
「物って、数百年経つと神が宿ると言うじゃないですか。その神様に戦士としての身体を与え、その戦士と共に歴史修正主義者が送り込んでくる時間遡行軍を倒していただきたいのです」
ちょっと頭が追いつかないな。
要は、神様を戦士に変えてその指揮をしろって事なのかな。
「まぁ、詳しい事は私も把握しておりませんので、彼方側の案内に従ってください」