第2章 episode 1
《まだ難しい話だったね。所でよ。オマエのママはどこにキエタ?》
『え、ママ?』
《ああ、そうだ。ママはどこにキエタ?》
ママ──
そう言えばママはどこに消えたんだろ?
いつの間にか消えてたな。
《オマエのパパはどこにキエタ?》
そうだ。パパもどこに消えたっけ?
あれ──みんな、どこに消えた?
《忘れたか? オマエのママもパパも全部、オマエが──》
『やめてぇぇぇえええ!!』
ガバッとはね起きた上半身。
その際、勢いよく柵に肘をぶつけて顔を歪める。
いったぁ。って、なんだ──夢か。
(どこに消えた?)
アハは、馬鹿みたい。
と、息をつく束の間
──ガラガラッ!!
「何事だ!? ……って、起きたのか」
『び、ビックリ』
ふと木製の扉を勢いよく開けて入ってきたのは、綺麗な顔をした美青年だった。
肩まで艶のある黒髪に、アメジストの様な綺麗な瞳。そして薄黒の長シャツに黒のズボンを纏ったその風貌は、まさにモデルそのものみたいだ。