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黒蝶が飛ぶ頃に―陰陽師― R15

第2章 episode 1




かっこいいで片付けられる類いじゃない。
何故だろ、彼を見ると血液がざわつくのは。


「わりぃな。驚かせたみたいだ」

『はい──あっいや、大丈夫ですよ!』

「ふっそうか。なら良かった」


ニカッと笑った顔で見られて、いてもたってもいられず、私は直ぐに視線を逸らした。


やばい、かっこいいのに笑うと可愛い!


そんなの心情を知ってか知らずか、彼は穏やかな表情のままに近づく。が


「逃げないんだな」


ボソッと言葉を吐き捨てた。
それに聞き耳を立てていたは顔をあげて彼を見る。


『えっ』


でも目の前にいる彼は笑顔だ。


「身体の具合はもう大丈夫か?」

『え、あっはい大丈──』


そう言えば、傷が手当てされてる。

まるで看護師がしてくれたかのように、きっちり巻かれた包帯と、絆創膏。は記憶にない経緯に目を点にする。

それにこのネグリジェ


『あの、一体ここは? 』

「時期にわかる。今少し話が出来るか?」

『?──はい』


そんな彼に、は微かに疑問を抱くのだった。


まさか、あの人が──。

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