第2章 episode 1
「着いたぜ。ここにあんたと話したがってる人がいる。」
連れて来られたのは、先ほどいた部屋から降りてきた1階。長く続く廊下の途中にあった扉の前だ。
どうやらこの家、というよりお屋敷は広く、所々沢山の部屋を見つけた。そして少しばかり古風な雰囲気があって、とてもよく落ち着くんだ。この木の廊下といい、現代のフローリングとはわけが違う。やっぱり木造建築っていいな。
「どうかしたか?」
『いえ、なんでもないです』
「……そうか」
『あの、部屋に入っても大丈夫なんですか?』
「ああ。連れて来る事は知らせてある。というか、頼まれたからな」
『そうですか』
そう俯いては少し躊躇い、ノックする為に作った手が止まる。だけど、
(―――よし)
意を決して扉に3回ノック。
そして
『失礼します!』
先に声を出してから扉を開けた。
すると
「わぁー! ちゃんと目覚めてくれ良かったッスー!」
これまた背の高い男性がやって来たかと思えば、いきなり抱き締められる身体。
『わ』
彼は私の首筋に顔を埋めると、さらにきつく抱き締めた。