第2章 第一試合VS.鈴駆
鈴駆は何が起こったのか分からず、ぐるぐると回る視界の中で地面にバウンドして壁にぶち当たって止まった。
すぐに立ち上がろうと地面に手をつくが、平衡感覚が定まらず、ふらふらと体を起こして立ち上がるが、すぐに膝から崩れ落ちた。
「なっ……ん………だ?」
なんだこれ………なんだこれ………!?
あいつ何したんだ!?
意識の向こうで審判の場外カウントが始まる。
定まらない目でリングを見れば、ウルキオラが感情のこもらないガラスのような目でこちらを見下ろしていた。
「愚鈍だなーーーその程度の速さでは、探査神経(ペスキス)を使わずとも位置が知れる」
そう言って異様な妖気を纏った右手を払って、ピッと指先についた鈴駆の血を飛ばす。
「ああーっと!?これはどういう事でしょう!?身軽な身のこなしで翻弄していた鈴駆選手が突如として場外!!ウルキオラ選手の打撃が米神にヒット!!速い!速い!速すぎて見えませーーーん!!!?」
この不可解な事態に六遊怪側も観客も動揺を隠せずにどよめく。
「くそ!」
そんな中、鈴駆がふらつきながらもリングに跳び上がる。
「鈴駆、行けるか?」
「当然!こっからは本気で行くかんね!」
是流の声に真剣な声で答えた鈴駆の手には、いつの間にかヨーヨーが握られている。
小さなヨーヨーが5本の指の間に挟まっていて、それを勢いよくウルキオラに向かって放った。