第5章 最終試合VS.酎
弾け飛ぶ少女の血肉を想像して歓喜に沸く者、目を背ける者、その光景に釘付けになる者、静かに傍観する者ーーー。
様々な視線と思惑の中、はリングに突き刺さった斬月の柄を握って引き抜いた。そしてそのまま振り返った彼女は刀身を振り抜いて斬撃を放つ。
「月牙……ッ……天衝ーーー!!」
圧縮された霊圧の斬撃がその刀身から放たれ、半月のそれは酎の妖気玉を消し飛ばした。
ドォオオン!!!と激しい爆発が巻き起こり、観客たちは悲鳴を上げて頭を抱える。
弾け飛ぶ爆風にウルキオラとグリムジョーは死覇装をはためかせて、リングを見つめながら目を細めた。
「ッ……はっ……はっ……!
ごめんなさい……貴方が凄いから斬魄刀を使ってしまったわ……ッ……」
やがて煙幕が晴れるとリングの上には膝に手を突いて笑うの姿があった。
酎はと言うとーーー胸に斬撃を受けて観客席で伸びている。ピクリとも動かないその姿に審判は10カウントの後、の勝利を宣言した。
『酎選手、行動不能!!よってこの試合、選手の勝利です!!』
バッと持ち上げられた腕を高く上げて、は口元についた血を拭う。
(っ……殴り合いじゃ敵わなかったなーーー。)
だから咄嗟に斬月を使ったんだけども……瞬閧を使った打撃に耐えるなんて、やっぱり一筋縄ではいかないなこの武闘大会ーーー。
野次と歓声が飛び交うリングの上ではぐっと拳を握った。