第5章 最終試合VS.酎
「うおりゃああ!!」
妖気玉を思いっきりぶん投げた酎。は迫り来るそれに腕を振り抜き、瞬閧を炸裂させた。
酎の妖気との瞬閧がぶつかり合って弾け飛ぶ。互角の力が余波を生んで一陣の風が観客席まで吹き荒れた。
「ッーー!なんて力だ!!」
「酎と互角だぜあの女!!?」
妖気と霊圧が弾けた瞬間、間合いを詰めていた二人は真正面から殴り合う。バキ!ドゴッ!と鈍い殴打の応酬に血しぶきが散る。
「ッ……オラぁあ!!」
一際強く振り抜かれた拳をは横から手で弾いて軌道を逸らし、霊圧を纏った瞬閧の一撃が酎の鳩尾に叩き込まれた。
「ッツーーー!!」
前よりも強く打ち込んだ一撃に酎の体はくの字に折れ曲がってリングから吹っ飛ばされる。
『選手の一撃がクリティカルヒット!!
酎選手!このまま場外かァアアーーー!?』
またもや観客席まで吹っ飛ばされる……と誰もが思ったその時だ。殴った違和感にが眉を寄せて酎を見た瞬間、彼女の瞳は驚愕に見開かれた。
「ンぬぉおおお!!!」
殴り飛ばされながら酎は妖気玉を構えていたのだ。さっきの比ではない大きさの妖気には咄嗟に背を向けて駆け出した。
「!デケぇ!一気に決める気だ!!」
「今さら逃げたって遅ェよ!!」
「ぬぉおお!!くらえいンンン!!!」
ドッ!と衝撃が音となって聞こえるほどの威力で妖気玉を放出した酎。
逃げるの背にそれが迫り、誰もが酎の勝ちを悟った。