第5章 最終試合VS.酎
「それでは副将戦ーーVS酎 始め!!」
審判の合図には背中に負っていた斬魄刀を布からほどいて片手に持つ。そんな様子を黙って見ていた酎は目を細めたまま言った。
「……お嬢ちゃんが相手か。悪いこたぁ言わねェ……後ろの兄ちゃんと変わんな」
「はは!その言い方傷つくなぁ。私が相手だとみんな不満がる」
腕を組んだまま動こうとしない酎には苦笑して肩をすくめた。是流といい酎といい、女と戦うことが不満らしい。
「そりゃあ女をいたぶる趣味なんてねェからな」
その言葉にグリムジョーが鼻で嗤い、観客から怒声が飛んだ。
「なに言ってやがる殺せ!」
「なぶり殺せ!!」
「血を見せろーーーッ!!」
空気を震わせるような怒鳴り声と殺気には肩をすくめた。
「紳士だね。彼らとは大違い」
「……うるせェな。いいから後ろの兄ちゃんと代わりな。青白い兄ちゃんでもいいぜ?」
「うちのチームは1人2試合まででね。ウルキオラはすでに2試合してるし、グリムジョーは知っての通り続投を拒否してるから試合には出られない……嫌でも私と戦わなくちゃならないんだよ」
そう言って斬月を構えると、酎は長いため息をついて漸く腕組みを解いた。
「そうかい。ならハンデだ」
「………ハンデ?」
両手を広げて笑みを浮かべる酎に、の纏う雰囲気が変わる。声が低くなったことに気づかず酎は言った。