第5章 最終試合VS.酎
「ッ……ぜ…是流選手……戦闘不能!!
ーーー勝者、グリムジョー!!」
下された判定に会場に設置されたモニターが勝敗を表示する。是流に×が付き、グリムジョーに○が付いた。これで黒崎チームは全戦全勝だ。
モニターを見て観客にどよめきが広がる。六遊怪が勝つ試合だっただけに観客も六遊怪の副将、大将の二人も動揺を隠せないようだ。
「是流が殺られた……」
「……あの是流でさえ瞬殺かよ」
チーム内でも最強と唱われた是流の敗死。骨も残らず消し飛ばしたのはリングの上にいるグリムジョーだ。
「どうしたあ!?次上がってこいよ!!」
重度の火傷を負いながら凶悪な笑みを浮かべて、尚も殺し合いを望む気迫に足が自然と後ずさる。
「じ…冗談じゃねえ!俺はもう抜けるぜ!?」
「楽に殺しが出来るって言うから来たんだ!!」
そう言ってリングに背を向けて走る彼らを見て「ああ……?」と眉を上げるグリムジョー。
「っち……雑魚が」
「ど…どうしますかグリムジョー選手。このまま続投しますか?」
「はっ……おい!」
恐る恐る続投を聞いてくる審判を一瞥して、グリムジョーは振り返ってを呼ぶ。
火傷など意に介せず歩きながら視線を寄越すに、リングに向けて顎をしゃくった。
「お前がやれ。雑魚に興味はねえ」
「お前がやれって……向こうに代わりの選手いるの?」
「知るか」
歩いてきたグリムジョーに預かっていた斬魄刀を返しながら六遊怪側に視線を向けた時だ。
逃げ帰っていた二人が急に膝から崩れ落ちた。いつの間にか頭がネジ切られ、血を吹き出しながら事切れる光景に意識を向けている間に、リングに男が降り立った。
「うぃ~~~っく」
ネジ切った頭を地面に放り投げて転がし、顔を赤くしてしゃくり上げるのは、六遊怪チーム【補欠】の酎だ。
「遊びは危ねーから面白いのによォ……白けさせるマネしやがって馬鹿どもがよォ」
ここからでも酒の臭いが分かるほど赤くした顔に挑発的な笑みを浮かべる。
酒気と一緒に感じる男の纏う異様な気配には目を細めた。