第4章 第三試合VS.是流

「なるほどな……アランカルか」

そう言って笑みを浮かべる是流に、グリムジョーは怪訝に目を細めた。

「ならば……この世界に来たことを後悔するんだな」

その瞬間ーーー是流を中心に凄まじい熱の妖火が巻き起こる。辺りに叩きつけられる熱風も先ほどの比ではなく、是流の足元にある石板は赤く熱せられて溶岩となり始めていた。

「はっ！てめえが俺を退屈させねえ限り後悔することはねえよ！！」
「………口の減らない野郎だ。今度はさっきの比ではないぞ！骨をも焼き尽くしてケシズミにしてやる！！」
「馬鹿が！最初から全力でやっとけ！！」

是流の妖火が膨らみ熱風がグリムジョーの皮膚を焼く。その中で指の腹を噛みきったグリムジョーは、流れる血をそのままに腕を上げて、是流に向かって手のひらを広げた。

「さっきのウルキオラがやった虚閃(ｾﾛ)の比じゃねえぞ！！」

手のひらに集まった高密度の霊圧の塊がグリムジョーの血を呑み込んでさらに激しく膨らむ。

地を溶かすほどの妖火と
空間が歪むほどの霊圧の塊。

これには堪らず、審判も危険を感じてリングから飛び降りて避難する。延長線上にいる六遊怪側も「またか！」と慌てて横へ逃げた。

そんな中、リングの側を離れずに佇むと地面に腰を落としたままの背を一瞥するウルキオラだけが、動かずに戦況を見守っている。

「これが十刃(ｴｽﾊﾟｰﾀﾞ)に許された
最強の虚閃(ｾﾛ)だ！！」

持ち上げた腕を片方の腕で支えて腰を落としたグリムジョーは、嬉々として特大の虚閃(ｾﾛ)を放った。


『王虚の閃光(ｸﾞﾗﾝ.ﾚｲ.ｾﾛ)』


同時に放たれた是流の業火とグリムジョーの虚閃(ｾﾛ)が真っ向からぶつかり合う。
ｶｯ!と閃光が走り、誰もが目を細めた瞬間ーーー轟音と爆風が辺りのものを巻き上げ、吹き飛ばしていった。