第4章 第三試合VS.是流
「両チーム中堅前へ!」
リングの上で是流とグリムジョーが向かい合う。
試合開始を待たず両者が発する妖気と霊圧がぶつかり合って、その凄まじさに会場にいる全ての観客が固唾を飲んだ。
「中堅戦、グリムジョーVS是流 始め!!」
審判の声を合図に妖気を業火に変えて巻き上げる是流。熱風が辺りに叩きつけられ肌を焼く痛みにグリムジョーは口角を吊り上げた。
「上等じゃねえか!殺り合おうぜ妖怪ッ!!」
「ーーー異世界だか何だか知らんがスミクズにしてやる」
「ははははは!いいねえ!」
炎を纏った拳を片手で受け止め、霊圧を手のひらに圧縮する。受け止めた腕ごと燃やす業火と手のひらで膨らむ高密度の霊圧がせめぎ合う。
「破面6(アランカル.セスタ)グリムジョー=ジャガージャックだ!!俺の名を忘れんじゃねェぞ妖怪!!」
ぶつかり合った妖気と霊圧が極限まで膨らんで爆発を引き起こした。ドォン!!と轟音が響き渡り、爆風がリングの石板を巻き上げる。
「にゃああああ!!物凄い爆発です!!両選手はどうなったのでしょうか!!?」
爆風に煽られながら審判の小兎がマイクに向かって叫ぶ。
間もなくして爆煙の晴れたリングでは、それぞれ片腕に傷を負った是流とグリムジョーが向かい合う姿があった。
そんな彼らの表情は二者二様。是流は驚愕に目を見開き、グリムジョーは愉しげに笑っている。
「っ……俺の妖火に焼かれないだと……?
お前一体何なんだ……っ」
「あ?……どこ見てんだ。焼かれてるだろうが」
そう言って持ち上げたグリムジョーの右腕は是流の業火に焼かれて酷い火傷を負っている。
しかしそれすらも愉快とばかりに口角を吊り上げる姿に、是流は息を飲んだ。
「何者だあ?……言ったろうがーーー破面(アランカル)だってな」
「っ……アランカル……」
聞いたことのない種族。
人間でも妖怪でもない。
この世界にいない生き物に、是流が感じたのは恐怖ではなく『興奮』だった。
魔界の炎に次ぐ是流の妖火に絶えうる妖気を持つグリムジョー。それは衰えるどころか傷を負って尚、勢いを増している。