第3章 第二試合VS.呂屠
「このスイッチを押せば、俺の使い魔がお前の大事なものを食い殺すぞ!」
「……大事なものだと」
そこで初めてウルキオラの表情が動いた。ふと意識を向けた先に気づいた呂屠は口角を厭らしく引き上げて笑った。
「そう……分かったらいいんだよ。ほら、スイッチを押されたくなかったらーーー」
「下らんな」
「は……」
「勝手に押せ。その前にお前がチリになっていなければなーーー」
そう言ってウルキオラの指先に集まった霊圧が膨らみ光閃が放たれる。
「!?……ま…待ってくれ俺が悪か……っ!!」
『虚閃(セロ)』
高密度の霊圧の塊が呂屠の顔もろとも一直線に突き抜ける。その平行線状にいた六遊怪のメンバーは慌てて飛び退き、コンクリートを巻き上げて観客席の壁を消し飛ばした。
唯一、首を傾けるだけで虚閃(セロ)を避けた是流とウルキオラの視線が交わる。
「っ……こ、これは……ウルキオラ選手の強烈な攻撃ーーー!!呂屠選手は上半身が吹き飛び戦闘不能!よってこの試合、ウルキオラ選手の勝利でーーーす!!」
ウルキオラは何事もなく踵を返してリングを静かに降りた。そこへが「お疲れ」と笑みを浮かべて迎える。
「さっき少しだけ動き止まってたけど……何かあった?」
「ーーーいや」
「そう……?」
何か言いたげにこちらを見たあと、目を伏せて横を通りすぎるウルキオラを不思議そうに振り返る。
そんなとき、会場にいた観客がリングを見て大きな歓声を上げる。