第8章 光風霽月【コウフウセイゲツ】
ああ、沸き立った野心が一気に潰されたよ。
信長が作ったこの時流は誰の手にも負えねえんだってな。
信長の軌跡は豊臣秀吉が継ぐ。
織田は磐石だって見せつけられた。
『』が産んだ信長の世継ぎも居る訳だしな。
有無を言わせねえその一気呵成振りには潔く降参するしかねえよ。
本当に……
あんたは凄えな………明智光秀。
全てを見越して自分の首を捧げたんだろ?
あんたの為人を知ってる奴等には直ぐに分かるさ。
明智光秀が謀反なんて起こす訳ねえって。
それで最後は、この退屈で呑気な天下泰平だ。
秀吉の手腕も見事だったと思う。
けど何よりも、誰よりも敬意を払う可きなのは……
創り上げた者『織田信長』と……
命を賭して護った者『明智光秀』だろうよ。