第1章 秘中之秘【ヒチュウーノーヒ】
当時は俺が十で、十参號はまだ四つだった。
突然訪ねて来た俺と十参號を伯父は温かく迎え入れ、そして厳しく育ててくれた。
その教育の過程で忍びには親も子も…そして兄妹も無いと、そういった甘えに繋がって仕舞う柵は完全に断ち切れと刷り込まれたんだ。
だから俺は十参號が俺の実妹である事を徹底的に隠した。
そう、十参號に対しても。
物心付くか付かないかの年齢であった十参號は、俺と伯父の態度に依って、俺が実兄である事を認識しないまま成長した。
自分にとって俺は只の兄弟子であると、兄弟子でしかないのだと認識して育った。
それについて俺は悲しいだとか、寂しいだとか感じた事は無い。
何故なら俺も十参號を妹だと思えなくなっていたからだ。
そして厳しくて怖くて、誰よりも優しかった伯父は………
二年前、任務の最中に亡くなった。