第3章 慧可断臂【エカダンピ】
「くそっ……
陸號、余計な事を……」
俺がぼそっと悪態を吐くと
「違う!
私から陸號に聞いたの。
陸號みたいになるにはどうしたらいいの…って。」
十参號が必死の形相で陸號を庇う。
「何でだよ?
陸號みたいになりてえだなんて……」
「だって陸號は……皆に信頼されてる。
皆に尊敬されて……
いつもたった一人で、仕事も完璧に熟して…」
だからそれは、陸號の仕事が俺達男には逆立ちしたって出来ねーからだ。
勿論、陸號自身が出来た人間である事は認めるが……。
「それで?
陸號は何て答えた?」
俺は十参號に知られて仕舞ったからには仕方ねえと諦めの溜息を漏らしつつ……
ふと、だからって何で十参號が俺の所に来るんだと疑問が湧き上がる。
それも問うてみようと十参號を見下ろせば、何故か更に頬を赤らめ視線を泳がせていた。
「おい……十参號?」
「陸號は……何も…答えてくれなかった。
只、一寸だけ寂しそうに笑って……」
ここで十参號は潤んだ瞳で俺をくっと見上げて続けた。
「先ずは………
好きな男に抱かれて来なさい…って。」