第1章 好き
「…何やってんだおれは…」
自身を慰めた後、突然襲われるだるさでそのままソファに横になる。
オトハの態度と行動が気になって最近では夜もおちおち眠れずにいる。
自分のことはただの兄や師匠という目でしか見てくれないのか…。自分に見せる笑顔や想像している顔が違う男にしていると考えた途端に、無性に腹が立った。
前にイッカクがシャチに言っているのをにちらりと聞いた、オトハに好きな人がいるらしいという話。通りすがっただけだから、その後は聞けずにいたが、その相手が誰だかが気になって仕方が無い。
もし、その相手がペンギンだったとしたら…?10年来の付き合いの信頼出来る副船長を、降ろすわけにいかねェ。どうにかなっちまいそうだ…
そうぐるぐる頭の中で考えていると、頭がガンガンしてきた。寝不足のせいか、または昨夜の酒のせいか。…まだ頭痛薬が残っていた気がする。
気だるい体を起こして部屋を出た。すると、考えていた本人、ペンギンがこちらに気づいた。
「キャプテン?」
「…ペンギン、お前…」
なんだかこいつの顔を見た途端にキレそうになったが、それは頭痛で遮られた。頭がいてェ。
「な、大丈夫っすか?って…ちょっとキャプテン熱くないっすか?」
おれの額にペンギンの手が置かれた。
「キャプテン、熱あるじゃないすか?!治療室行きましょう」
「…クソ」