第1章 好き
「い、い、い、イッカクさん…」
「お?オトハか。水遊びは楽しかったか?」
「いや、ねぇ、キャプテンが、話があるって、言ってな…!」
女部屋でイッカクさんにさっき起きた出来事を話していく。私の手には、まだキャプテンの匂いがついたタオルがある。
「タオル、ねぇ、いい匂い、ほんと、やば…」
「あっはっはっ!!オトハは乙女だなぁ!」
いつからかわからないけど、私はキャプテンに恋している。彼は私の師匠、兄のような存在だった気がする。でも今は、キャプテンを男として意識するようになった。
惚気話がある度に、こうしてイッカクさんに全てを話す。イッカクさんは本当にいい人…大好きだ!
「でも、キャプテンに恋してるなんて知られたら、船を降ろされるかもしれないじゃん?」
「だーかーらー、そんな事は絶対に無いって!」
安心しな、と私の頭をぽんと叩いてイッカクさんは部屋を出ていってしまった。
…キャプテンのタオル、とりあえず洗濯しなきゃ。
惜しいけど。