第1章 好き
「はぁー、涼しいー」
おれはオトハにタオルを手渡す。
「お、ありがと!…ところで話ってなんだ?」
「そこまで大したことじゃねェが」
座れ、とオトハに催促して向い合せで座る。
「医薬品がそろそろ無くなりそうでな。ここんとこ戦続きでだいぶ消費しちまったからな。買う物のチェックリストを作ってもらいたい」
「あ〜、いつものやつね。了解」
オトハに、常備している薬のチェックリストを手渡す。いつもこれをオトハが無くなりそうな物を赤でチェックをつけて、それを見ながら島で買う、という事をしている。
「えっと…話って、こんだけ?」
「……」
黙って頷いてやると、不思議そうな顔をして部屋を出ようとする。
またあいつが離れて…違う奴のところへ行ってしまう。
「…なんか、最近のキャプテンおかしいな」
「あ?」
「なんもねェ。あんま夜中まで本読んでないで早く寝るようにな。クマがヤベェよ」
じゃあ、と部屋を出ていく。
ふわりとまだ香るあいつの匂いが、少しだけ眠気を誘う。
…やっぱりあいつがいる方がよく眠れるかもしれねェな