第5章 浮気
「私だったら飽きないわよ」
腕を絡ませてきた女を振りほどく。
「…触んな」
女々しい香水が鼻に絡みつくようだった。うっとおしい。
「私じゃいやかしら?」
「当たり前だ。帰る」
立ち上がり、女のことを見向きもせずにそのまま酒場を後にして、船に戻ってきた。
「オトハが…」
なんて言うから、まずはこいつらから話してやらねえとだめだ。
「確かにあいつは口は悪ィし可愛げがねェかもしれねェ。…セフレだって思われても仕方ねェ。けどな、俺はあいつの全部を見てきたわけだ。腕のいいナースになって俺のにもなった。そんな奴を嫌う理由がどこにある?俺は一生あいつを手放すつもりはねェ」