第3章 アネモネ
「わぁ、このピアス超かわいい…。あ、このネックレスもめっちゃいい!」
アクセサリーが好きなオトハは、いざアクセサリーショップに行くともう1時間はそこにいる。
「ロー、このピアス、どうだ?」
「…いいんじゃないか」
「あ、なぁこのネックレスもかわいくないか!?」
「…あァ」
オトハはもうローをそっちのけで一人で見ていた。しかし、あれだけ目移りしたくせに何も買わずにショップを出る。
「何も買わなくていいのか?」
「ん、別に普段から色気づけても意味ねぇしな。ローががやがやうるさいだけだし」
「黙っとけ」
さっさと行くぞ、とローがまた帽子を目深にかぶって歩き出す。その仕草は照れ隠しだってことはお見通しなオトハだった。