第6章 乗せられて
「出来るなら嬉しいけど、それでも波瑠を傷つけるならまだ我慢する」
蛍の目からは強い意志が感じられた。
その目にはもう申し訳ないという思いは込められていない。
この目になら、任せられる。
委ねられる。
「今の蛍になら、大丈夫だよ」
「無理してないの?」
「してない。
無理して繕ったら、蛍怒る癖に」
「まぁね。
本当に大丈夫?」
「大丈夫」
「こんなところで最後まではしないから、安心して」
「ありがとう」
だが、それでは蛍が辛くないのだろうか。
「僕の心配はしなくて良いから」
再びマットの上に身体を押し倒される。
「イカせてあげるだけだから」
「いく...?」
「そう。
身体の力を抜いて、全部僕に任せて」
髪を撫でられ、身体の力を抜く。
ゆっくりと顔が近づくと、目を閉じた。
しばらくして唇に温もりが触れた。