第6章 乗せられて
「ごめん...」
身体を起こしてくれた蛍。
しかし1度零れた涙はすぐには止まってくれない。
蛍の前だと言うのに、泣きじゃくる。
蛍も蛍で触れて良いのか分からず、肩に回そうと出した手を空中でさ迷わせている。
「抱きしめて...?」
「良いの?」
コクリと頷く。
優しく身体を抱きしめられれば、その温もりに安心感を抱く。
なんと単純なものか。
「本当ごめん...」
キツく抱きしめられる。
「大丈夫...だから」
「腕、少し赤くなってる。
冷やしに行こうか」
目元の涙を拭いながら問う。
「いらない」
「でも、早い内に冷やせば明日までに消えるかもしれないし」
「蛍。
そんなにしたい...?」
「は?」
「だから、そんなに...」
「ストップ」
手で口を塞がれた。
「2度も言わなくても伝わるから」
顔をほんのりと赤く染めている蛍。
そんな顔、反則だ。
私だって恥ずかしいのを我慢して聞いたのに。