第4章 スペシャルメニュー
「おー、確かに!
じゃあ彼女ちゃん!」
「波瑠です」
「波瑠」
「なんです?」
半ば強引に名前を呼ばせる。
「これから名前で呼ぶから、そしたら俺のことも光太郎って名前で呼んでくれよ」
「はい?」
「下の名前で呼ぶんだろ?
なら俺も下の名前で呼ばれたい!
あと赤葦とかツッキーとか呼ばれてて狡い」
まぁ、それもそうか。
「...分かりました」
「おうっ。
じゃあ改めてよろしくな、波瑠」
ニカッと歯を見せて笑う。
この人の笑顔は裏表がなくて、純粋で、たまに眩しく思える。
「お願いします...こ、光太郎さん」
少し照れる。
「なーに?
珍しく照れちゃった?」
ニヤニヤと黒尾さんが顔を覗き込む。
「う、るさいです」
「かーわいいね、初々しくて」
続けてワシャワシャと髪を雑に撫でられた。
「ちょっと、それセクハラですよ、黒尾さん」
蛍が黒尾さんの手を掴む。