第3章 マメ
「研磨くん、大丈夫?」
距離を進むに連れて、真ん中辺りに居た研磨くんがペースダウンしていく。
今はもう私と同じところに居る。
「...置いてって良いよ」
「そういう訳にもいかないよ。
慣れない道でしょ?
迷ったら大変」
そう。
ここは見慣れた道じゃないんだ。
はぐれたら合流するのが難しい。
「俺なら...まだ道は分かるから...」
「ダメ。
何かあってからじゃ遅いの。
研磨くんが遅く行くって言うなら私も遅く行く」
「それじゃあ波瑠まで練習に遅れちゃうから...ダメ」
「遅れたとしても、これだけは譲れない」
目を見つめて告げる。
しばらく目が合い、沈黙が続く。
「.....分かった」
渋々といった様子で研磨くんが首を縦に振った。
「おー、珍し。
あの研磨が折れるなんてな。
彼女ちゃんには型なしってか?」
「クロ煩い」
「へーへー」