第3章 マメ
「なぁ、大地」
「ん?」
「微笑ましいよな、若いって」
「おいおい、俺達だって十分若いだろ」
「それもそうだけど」
2人の視線の先には、互いの身体に肩や頭を乗せる月島と波瑠の姿。
「普段1番眠らない2人が、こんなに早く眠るとはな」
「な、びっくりしたべ」
「さてとスガ、俺達も寝るか」
「だな」
烏野の車内には、珍しく静かな時が訪れた。
「ふぁ...あ...」
隣を見れば、いまだに静かな寝息を立てている波瑠。
君は無自覚に人を惹きつけ、魅了するから心配なんだよ。
波瑠が間違うことなんてないと思うけど、それでも不安にならない男は居ない。
「...このまま僕の隣に居てくれたら良いのに」
髪を撫で、寝顔を見つめる。
東京へ着くまで、あと少し。