第3章 マメ
車で段々進むにつれて、静かになっていく車内。
それもそうだ。
朝練があって、授業があって、部活があった。
そのあとは家に帰って支度して、またすぐ学校だ。
日向なんて自転車を漕ぎすぎて疲れたと言っていた。
あの日向が。
「何してるの?」
忙しなく動く波瑠の手。
手の中には携帯がある。
「木兎さん達から連絡が来てて、返しているところ」
「達?」
「そう。
木兎さん、黒尾さん、京治くん、研磨くん、リエーフくん」
「いつものメンツだね」
「うん。
やっぱり皆明日揃うみたい」
「寝ていかなくて良いの?
明日も動くんでしょ」
「うーん...寝ようかな」
窓側に居るから、窓に寄りかかって目を瞑る。
「窓じゃなくてこっちに寄りかかりなよ」
身体を引き寄せられ、頭がポスッと蛍の肩の上に乗る。
「重いから大丈夫だよ」
「そんなヤワな肩してないから」
「...ありがとう」
蛍の言葉に甘えて、そのまま肩の上に頭を乗せたまま目を瞑った。
蛍の温もりが、匂いが、安心する。