第2章 独占欲。
「!」
ウトウトしていると、いつの間にか授業開始10分前になっていた。
起こさないと。
「蛍、そろそろ時間だよ」
身体を軽く揺すり、声を掛ける。
「ん...ふぁ...」
瞬きを数回すると、欠伸をした。
涙の滲む目はいまだに少し焦点が合っていない。
「時間だよ」
「...分かった」
もう1度パチパチと目を瞬かせると、目が合った。
「なんで...?」
「ん?あぁ。
バランス崩しちゃったから膝に寝かせたの。
タイルの上じゃ流石に痛いから」
「そう」
戻る支度をしていると、不意に背中に温もりを感じた。
「もう行くの?」
抱きしめられていた。
「うん。
もうすぐで授業始まっちゃうからね。
私授業に出ないと勉強分からないし...」
参考書は苦手だから、いつも授業を聞いて覚えている。
「授業なんて、あとで山口にノート見せて貰えば良いでしょ」
サボろう、と眠気の混じった声で笑う。