第2章 独占欲。
午前中最後の英語の授業中。
ふと隣に目を向ければ、つまらなそうに頬杖をつく蛍が居る。
「はい、じゃあ今日の授業はここまで」
先生の言葉に、皆息を吐き出す。
「...やっと終わりか」
長かったな。
「波瑠、ご飯」
「持って来てたっけ?」
「持ってないよ」
「じゃあ買いに行かないとだね。
山口くんも良かったら一緒にどう?」
「は?」
「え?
い、いや、俺は.....」
蛍の近くまで来ていた山口くんに声を掛けた。
「ひ、日向達に勉強教える約束してるからごめんっ」
「そっか、分かった」
慌てて教室を出て行く山口くん。
なんか急によそよそしいな...。
「...君が落ち込む必要はないでしょ。
山口なりに気を遣ってるんだから汲み取ってやれば?」
「え?そうなの?」
「あいつ、そういうところあるから。
それより波瑠、ご飯買いに行くよ」
バシッと腕を引かれる。
「ちょ、ちょっと、私まだお財布持ってな...ねぇ!」