第1章 オフ会しようぜ
「お邪魔します」
「ん、どうぞ。
好きに腰かけて良いよ。
ご飯は?」
「あとで。
波瑠、こっち」
蛍に手招きされる。
「どうしたの?」
「別に...どうもしないけど」
口ではそう言いながらも、顔と言葉が一致しない。
腕を強く引かれ、身体のバランスが崩れる。
「わっ、え...」
床に座っていた蛍に上手く抱きとめられた。
「蛍...?」
突飛な行動に思考が一瞬止まる。
「...今日、王様と距離近過ぎ」
「え?」
「顔なんて息が掛かりそうだったし。
身体はゼロ距離」
「蛍...」
身体を包む腕の力が強くなった。
「君は平気なの?
僕が他の女子と距離が近かったから」
蛍と、女の子の距離が近かったら...?
ふとその場面を想像する。
「.....嫌」
胸がモヤモヤして、あまり気分の良いものじゃない。
「でしょ?
同じこと」
「ごめん...」
知らず知らずの内に蛍に嫌な思いさせてた。