第2章 独占欲。
髪を束ね、ボール出しを手伝う。
「おい、波瑠、レシーブしろ。
サーブ練がしてぇ」
「飛雄、今朝練の時間。
そんなに時間はないの、出来ない」
「少しぐらい良いだろ」
「飛雄の言う少しって一体どのくらいよ」
距離がどんどん縮まっていく。
「と、とと、止めなくて良いんですか!?
2人共喧嘩して...」
仁花がオロオロして清水先輩に助けを求める。
「うん、大丈夫」
「.....じゃあレシーブ教えろ」
「え?」
「木兎さんのスパイクで吹っ飛ばされねぇような、レシーブ教えろ」
「...それなら良いけど...。
急にどうしたの?」
「...別に、なんでもねぇ」
「ふーん、そっか。
じゃあまず軽く打つから、それを木兎さんのだとイメージしてみて」
「あぁ」
ふわりと軽く放ったボールを見つめ、重たいボールに対応するように重心を下げた飛雄。
「...膝を下げるんじゃなくて、腰を下げるの。
膝を下げたんじゃ負荷も掛かるし、何よりバランスが取りづらい」
身体に触れながら教えていくと、後ろから手が出て来た。