第7章 初演練 *水無月*
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ほんの一瞬の出来事だった
少し強い光に当たっていたと思ったら、急にさぁっと風に吹かれた
「さぁ、着いたぜよ。サキ、もう目を開けてええぞ」
陸奥の声がしたため、そっと目を開ける
そこにはうちの本丸より少し小さい門構えの本丸だった
すると、あたしの手を五虎君がギュッと握った
「お…お姉さ、だ…大丈夫です。僕が守ります!!」
『ありがと、五虎君。じゃあ手繋いでてくれる?』
「はっはい!!」
と、笑顔であたしの手をさっきよりもギュッと握る
主ちゃんがそんな様子を安心した顔で見てから「行くよ」と門をくぐり中に入った
「やぁ、凛華さん。お待ちしておりましたよ」
「どーも」
相手の審神者さんは男だった
30代よりちょっと上くらいのおじさんですごく違和感のある笑みを浮かべている。凛華の方は完全にただのうわべの挨拶をしていた
「今日は演練を御受けいただきありがとうございます。ところで、例の刀剣女士は…」
「さっさと始めませんか?あたしは忙しいんです。まだネーム出来てないんで」
「アハハ、さすが凛華さんだ。分かりました、すぐに取り掛かりましょう。」
と、凛華が本丸の奥に入っていく
それについていくと、相手の審神者さんがあたしのことを見つけたみたいで「おぉ!!」と声を上げた
「やぁ!君が刀剣女士の子だね」
『えっ!?…あ、はい』
「お会いできてうれしいよ。いやぁ~噂通り美しいね」
と、握手を求めているのか手を差し出してきた
あたしはその手を取っていいか分からず躊躇っていると陸奥と兼さんがあたしの前に出た
「悪いが審神者さんよぉ、うちの刀剣に触れないでもらえませんか?」
「なんだい?邪魔をしていいと思っているのかい?たかが刀の分際で」
「わし達の主の命令じゃ。悪いな」
そこまで言って審神者さんは道を開けたが、あたしはその時からこの審神者さんは嫌いだった
だって、兼さん達のことたかが刀って・・・
自分だって刀剣男士を持っているはずなのにあの言い方って