第7章 初演練 *水無月*
「よし、全員いるな!」
丁度洋広間に洗濯物を干し終わった時、長谷部に呼ばれた
呼ばれたのは、いつも出陣のメンバーが選ばれる中庭の場所だった
いつもなら、漫画家をしている主ちゃんもそこにいた
右に近侍の一期さん、左にお世話係の長谷部を従えていた
「今日みんなに集まってもらったのは、ある本丸から演練の依頼があったからです。いつもなら演練の依頼は受けないのですが、政府を通じての依頼だったので嫌々受けました。」
大きなため息混じりに主ちゃんが説明をする
でも、演練のけいけんのないあたしは近くにいた宗三さんに尋ねた
『あの…演練って?』
「別の本丸の部隊との模擬戦…ようは戦の練習のようなものですよ」
宗三さんからそう聞くと、主ちゃんが演練の詳細を話し始めた。
「この演練には…冴姫、貴女に出てもらう」
『えぇ!?』
主ちゃんの言葉に、ほとんどの刀剣男士達が声を上げた
「おいおい主!冴姫を演練に出すなんて何考えてんだ!!」
「冴姫が出るなら俺が出る!!」
「姉様を…危ない目に合わせたくない」
みんなが口々に言い、そばにいた小夜ちゃんがあたしの手を握った。でも、周りの心配をよそにあたしの心は踊っていた
何せ初めての戦だったからだ
演練とはいえ普通の出陣すら果たせていなかったあたしはようやく刀剣らしい事ができるのだと思った
「じゃあ冴姫、残りの隊員を決めるから貴女は支度をしてきなさい。女の子の準備は大変だもんね」
『…うん!!』
主ちゃんがそう言うものだから、あたしは小夜ちゃんから手を離して自室に向かった